スーサンの文字モジ<旗のはなし>

 [旗]:㫃は吹き流しをつけた旗竿の形。は箕は四角形のちりとりの形で、方形のものの意味がある。旗はほぼ方形の軍旗。旗を使って軍を指揮するので、将軍の旗のもと、本陣を旗本といった。幟(のぼり)は旗の一種である。(白川静著、『常用字解』より)

 じどうかんの学童クラブの児童たちが、自ら考えて、自分たちで運営する模擬店用のぼり看板を制作した。この幟は、タテ150cm、ヨコ40cmほどである。用紙スペースの中にそれぞれのお店の名前がしっかりしたバランスで配置されている。顔料系のカラーマーカーで描かれていると思われる。書体の意識も感じられ、カナ文字の表現もおもしろいものがある。書体は角ゴシック体がほとんどで、ハライ部分の先端は細くなっているのが特徴である。教科書体や最近のコミックで見かけるデザイン書体の影響が見られる。

 まず目を引くのは、文字やイラストがとにかくカラフルだということ。昨今のテレビ番組は説明文字が過剰に詰め込まれている。バラエティー番組のセットには極端な装飾が氾濫している。また、ゲーム機の動画やスマホの画面もカラフルになっている。子供たちはカラフルな文字に慣れているのかもしれない。一概に、カラフルなことは悪いとは云えないが、子供たちに影響を与えているのは確かなようだ。

 私が子供の頃、文字を視るのは、教科書や新聞、マンガ雑誌くらいのものだった。ほとんどが白黒、単色の世界だった。テレビ画面はスーパーインポーズかテロップカードの文字だけだった。昨今では、ディスプレイ画面が高精細な液晶になり、テレビ放送もゲーム機の画面もフォントデータさえ組み込まれていれば、文字の表示指示をコーディングすることで、文字サイズ、色、位置、エフェクトまでも表現できる時代になっている。活字の世界と同様に、画面表示も昔の技術とはすっかり変わっている。